いつか絶対わたしはパチンコで破産する

 

 

小学生の頃、大好きな友達が居ました。背が小さくて華奢で、元気いっぱいの女の子。半ズボンから見える脚の細さが愛しくて愛しくて、四六時中ずっと引っ付いていました。Rちゃん、Rちゃん、Rちゃん。Rちゃんが望むなら何でもしたし、好きでもない外遊びにも毎日付き合ったし、私の好きな本に彼女が興味を示したら全部あげました。

 

「連ちゃんのパパ」という漫画を知っていますか。Twitterでかなり話題になったので、私もそんなに言うならと読んでみました。結果メチャクチャ後悔した。読まない方が良いよ、あれ。アレを読んですぐRちゃんを思い出しました。より正確に言えば、幼い私の心をガッツリ依存させたヒトのことを。

 

パチンコにハマって、自分を信頼してくれた人からの金をヘラヘラ笑いながら台に突っ込む。親も友人も子供も教え子も知人も裏切ってギャンブルがやめられない止まらない。マジで馬鹿。唾棄されるべき最悪の行為です。でも私はそれと同じ欲望が自分にあることを、そしてそれが他人よりかなり強いモノであることを知っています。依存しやすい。マジで依存しやすい。心を奪った子とは1秒でも離れがたく、好きだと思った舞台に(正確に言えばトレーディンググッズに)何十万も金を突っ込み、美味しいと思ったものは毎日口にする。胸がずっとずっとそれでいっぱいになって、勿論ほかの物事に多少心を動かされはするけれど、Rちゃんが微笑めば、宗くんのクリアファイルが出れば、姜葱醤を口にすれば、マグニチュード1億で心が揺れるんです。でもたぶん私が本当に好きなのはRちゃんの微笑みじゃない。マグニチュード1億で心を揺らす快感を忘れられないだけだから、きっと震源地はあの子じゃなくたってかまわない。トレーディンググッズである宗くんのクリアファイルを「引いた」瞬間の、あの手がぶるぶると震えて頭が真っ白になって電流が背筋を駆け抜ける、私はきっとあの快感が欲しいだけなんだと思う。だからパチンコでいい。そしてパチンコは卒業式も、グッズコンプも、食べすぎて身体が吐いて拒否することもない。終わりがなく心が揺れ続ける。揺れ続けることができる。

 

余談ですが、親に昔から「大麻には手を出すな」と厳しく言われて育ちました。健康に害を及ぼすのは当たり前だけど、それよりも、あなたは自分で自分が制御できないんだから。自分の心をコレと決めた一つにだけ捧げてしまって、それ以外がどうなろうと全く構わないという態度でいる。それが反社会的なものだろうが離れるべき人だろうがまわりにどう思われようが、あなたは全く気にせず依存し続ける。ありがとうパパママ、それはマ〜〜ジでその通りです。「だから絶対に絶対に、初めの一歩を踏み出さないように気をつけなさい」。初めの一歩を踏み出した瞬間、自分の心が大きく揺れる快感に支配されることを私は知っています。そして大麻もパチンコもRちゃんと同じ快感を与えてくれるだろうことも。だから私は、あの騒々しくて煙草くさい場所を通るたび、必要以上に軽蔑を込めた眼差しで自動ドアを睨みます。軽蔑し続けないと、床に落ちているキラキラの銀の粒が、君にマグニチュード1億を与えてあげると言って光るから。

そして、いつか絶対、私はその初めの一粒を拾ってしまうからです。